* 綴れ織について *

<推薦図書>








綴れ織は、紀元前のオリエント地域に起源を持つ大変古くからある織物です。錦織といった絵を織物に取り入れる方法のまだ無かった時代、綴れ織は人物、動植物、鳥、文字などといった具象的な対象物を織り出す画期的な染織技術でした。

その特徴的なものは下記のいくつかの織り方に分類する事ができます。

1)スリットタペストリーと呼ばれる基本形的綴れ織。経糸に織りたい図柄の部分に緯糸を往復して織り上げて行きますので、色と色の間(図柄の間)にハツリと呼ばれる隙間が開きます。
現存する多くのものはこれに分類され、羊毛製のキリムから絹織の着物に付ける帯まで、同じ技術であっても素材や完成されたものには、幅があります。
ハツリ目があるために、横方向への強度が若干弱いという欠点もありますが、織り手は上手に入り組んだ図柄を織り込む為に、一直線に長いハツリ目を作る事は殆どありません。

2)技術的には殆ど1番と変わりませんが、ハツリ目となる部分に両側から緯糸を掛ける為に、隙間が開かないようになります。この技術もよく見られますが、スリットに比べて少数派になります。

3)綾織と綴れ織を合わせた技術。カシミールショールやペルシャのテルメと呼ばれる織物がこれに属します。
1,2番がそれぞれ平織りで織られるのと異なり、織り地を綾織にすることは技術的に大変高度な上、これらを作った素材がカシミヤなどの稀少素材で作られた事もあり、19世紀初頭までは王侯貴族など特権階級の人々のみが所有できる特別な織物でした。

**ヨーロッパの宮殿などを飾ったタペストリーも、綴れ織で織られています。この場合のタペストリーは、その技術を指すだけでなく、壁飾りの意味を有しますが、タペストリー織りとは綴れ織の事になります。この場合、必ずしも壁掛けを指す訳ではなく、綴れ織の技術の事を指します。


より詳しカシミール織り又は染織品全般の事を知りたい方は、左記の図書などが比較的入手がしやすく、わかり易いものです。

インターネットでの通信講座のご利用もお勧め致します。ご希望の方は、こちらをクリックして下さい。

テキスタイルHOMEへ
 Copyright (c) 2005-2014 Gallery Tulip. All rights reserved.