* 古代の印章について *

<推薦図書>








古代オリエントにおいて、様々な需要から生まれました。
文章などに押す判子状のものと、円筒状のものの外側にぐるりと図柄や文字を彫り込んで、粘土などに転がしてその陰影を付けた円筒印章(シリンダーシール)とが作られ使用されたり、身に付けてお守りのようにしたりしたようです。
特に特別な人だけが所有するというよりは、多くの人々が所有した、現在の日本の判子のようなものでした。
勿論、国王といった特別な地位の人々は、優れた職人の作る高価な印材のものを所有し、それ以外の人々はその経済的背景や地域性によって異なる品質のものを所有していました。

その起源は人類最古の文明を築いた、メソポタミアに生活していた謎の民族と言われるシュメル人と言われています。
文明生活に不可欠な交易といった商業活動には、封印など様々な場面で印章が活躍しました。

印材で珍重されたものには、濃い青色のラピスラズリ、茶系の縞メノウ、またオレンジ色のコーネリアン、また乳白色のカルセドニーなどがあります。その他にも大理石や緑色のジャスパー、鉄鉱石などの石や貝、焼き物、ブロンズなど素材も多岐に渡ります。

スタンプとして押したタイプは、平たい石のものやつまみの付いた金属製のもの、指輪などにされた石製、金属製、ガラス製などのものが殆どです。
また、動物の形をした底部分がスタンプだったり、八面取りをした長めの石を用いたもの(古代バビロニア時代など)や、ドーム型の石の底部分がスタンプのもの(ペルシャ・ササン朝時代)という様に、時代や地域性がはっきり出ています。

シリンダー型の印章は、ころころ転がして陰影を付けました。この場合、用いられた素材は殆どが石、稀に焼き物など他素材です。
中心に穴が開いているので、紐などを通して見に付け、持ち運びをしていたと考えられます。
スタンプよりも大きな面となる為に、物語性の強いものも見られます。
また、楔形文字などで所有者などを特定できるものも残っています。

スタンプ、シリンダーシール双方とも彫ったものを押し付けた陰影がきちんと出るようにする為には、かなりの技術を要した事が考えられます。
草花・人物・動物・文字・天体が主な題材ですが、物によっては判読不可能な文様も見られます。

より詳しく古代の印章の事を知りたい方は、左記の図書などが比較的入手がしやすいものです。
また、ササン朝の印章についてはこちらのサイト(英語)がお勧めです→ http://ecai.org/sasanianweb/
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