* イスラミックアートとは *

<推薦図書>








イスラム教は予言者モハメッドが神の啓示を受けた事により、600年に現サウジアラビアのメディナで生まれた宗教です。布教力が強く、広い地域に分布しました。

イスラミックアートと一言に言ってしまっても、実際はイスラム教の影響下にあったそれぞれの国の美術です。例えば、神の言葉を文字にしたアラビア語を書道で表す場合にも、国によってちょっとした特徴があり、書体が分かれます。
それぞれの地域には当然それ以前から住んでいた人々の固有の美術や宗教もあり、それがイスラム化された後にも大きく影響を及ぼしています。また、イスラム化された後の侵入者の影響も大きなものがあり、モンゴルはその最たるものと言う事ができるでしょう。

イスラミックアートは7世紀以降の美術全般を指します。 元来紙作りの技術が無かった所、中国との戦いの際に捕らえた捕虜から技術を習い、ペルシャに紙作りが伝わったのが10世紀。それまで、パピルスや羊皮紙に文字や装飾を施していました。
紙の導入は多くの詩や物語本を作るきっかけともなり、そこに描かれた挿絵としてミニアチュール絵画は発達していきました。
西洋との関わりにより油彩なども描かれるようになったり、宮殿などを壁画で飾ったり、17世紀頃のムガール朝やサファヴィー朝時代に王や貴人などの肖像画として描かれるようにもなりましたが、あくまで挿絵が主流でした。
絵画と同様に重要なのが、聖典コーランに描かれるイルミネーションと呼ばれる美しい装飾文様です。当然、書道の美術に占める位置も高いものがあります。

建築もそれぞれの地域固有のものが、時代により発展していきました。
イスラム建築を語る際には、南スペインから北アフリカ地域、トルコを含む中東地域、中央アジア、そしてインドまでかなり広域となります。
従って、それぞれの地域が独特の特徴を有しますが、一般的には細かい装飾が共通し、またイスラム教では生き物の描写を禁止している為に、草花文様や幾何学文様で飾られます。
しかしながら、モスクなどの宗教施設でない住宅などには人物や動物文様のタイルなども多く用いられました。

その他の工芸品(陶器、ガラス、彫刻、染織、宝飾品など)は、シルクロードによる中国との関係が深く、お互いに影響しあった事が知られています。
また、17、8世紀以降のヨーロッパ美術の影響も見逃す事は出来ません。
イスラム教が生き物の描写を禁止している事は、これら工芸品の表現を制限するものではありませんでした。
中でも、ティムール&モンゴル時代、ペルシャ・サファヴィー時代、オスマントルコ時代とムガール時代の美術工芸の質の高さや完成度の高さは、特筆すべきものがあります。

より詳しくイスラミックアートの事を知りたい方は、左記の図書などが比較的入手がしやすいものです。

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