絨毯の起源は、オリエント世界で羊を家畜とし始めた頃に遡ると考えられます。
現存する最古のものは、アルタイ山脈のパジリクの凍結墓から発掘された絨毯で、紀元前5世紀頃と考えられています。俗称パジリク絨毯です。大変優れた絨毯で、その図柄がペルシャのペルセポリスの浮き彫りと類似点があることにより、ペルシャ製ではないのか・・・など色々研究されています。
この時代にこれ程精巧なものが作られた事を考えれば、その起源がそのずっと前だった事がわかります。
絨毯は、移動可能な便利な家具調度と言う事ができます。
古代オリエントから、定住者が農業を行い、羊などの家畜を育てるものは遊牧生活が適していました。遊牧民は、その生活必需品から飾り物まで、あらゆる物を手に入る素材で作りました。最も手に入れやすいものが羊毛ですから、当然ウール製品が多く作られます。
他の工芸分野のものと同様に、絨毯にもいくつかのカテゴリーが出来るようになります。
パジリクの時代にもうそれが見られるように、国王などの為に作られるもの。これらは、王室工房で製作されることが多いものです。そこで製作されたものは、国賓や外国特使などへの贈答品にもなりました。そのようなものは、国の威厳を掛けて、最高の材質、染料、技術が用いられました。
次のレベルとしては、富裕層の為にオーダーなどで作られたもの。これらは、大変大型のものが多いです。
産業としての絨毯作りは、主な輸出国としてトルコ・ペルシャ・インド・中国がありました。需要が高く生産が大変な時代には、品質面で劣る面も見受けられます。
村の人々が自分たちの為に作ったものは、婚礼に際して嫁入り道具とされたものも多く、将来に希望を託した可愛いデザインや、お守りのモチーフなどが特徴的です。遊牧民の作るものもこの分野に属しますが、色使いのダイナミックさや、何よりデザインへの自由さがあります。
伝統に基づいていますので、どんな民族が織ったものかの特徴が出やすいのもこのタイプです。
絨毯の織り方は、技術的に殆どどの地域でも同様です。
経糸を張り、そこにパイルとなる糸を結んび、一列終わったら緯糸を数本通す。というものです。
結び目、つまりパイルとなる糸の通し方にいくつか違いがあるものの、絨毯はほぼこの工程で織られます。
デザインについて、宮廷工房では専属の芸術家によるデザインが起され、優雅なものが作られました。
民間工房では、絨毯のデザイナーがデザインしましたが、宮廷での流行を多く取り入れていました。
自分たちの為に伝統的な絨毯を織っていた人々も例外ではなく、町の流行を取り入れて自分たちなりに消化させてデザインを構築させたりもしました。しかし、デザイナーの下書きがあるものでもなく、仕上がりが同じものに見えないものも多々あり、それが面白みともなっています。
現在、アンティーク絨毯の収集は主に欧米で盛んです。また、更なる経済情勢の変化により、アラブ諸国のコレクターも参入し、歴史的に重要なタイプの絨毯の取引が成長しています。
より詳しく絨毯の事を知りたい方は、左記の図書などが比較的入手がしやすいものです。
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