インド更紗の一部分(18世紀後半)
現在経済発展の目覚しいインドは、昔から様々な優秀なテキスタイルを生産してきました。
更紗や絣もインドに千年以上前から作られていて、その発祥の地ではないかと思われています。
テキスタイルは一大産業であり、インドは各国向けにその国の嗜好に合わせたものを作って輸出していました。
江戸時代には、更紗の織りや染において等級を設けていた程、更紗の美しい染めを好んで輸入し、日本の染織にも影響を与えました。

この写真は18世紀の後半にヨーロッパ向けに作られた更紗の一部分です。
手描きで何色も使って染められ、細部に渡って意匠が凝らされています。
それが可能なのも、この生地が大変きめ細かく織られている為で、この様な木綿の生地を手紡ぎ・手織りの工程で作り上げた技術はすごいものです。

日本に現存する古渡り、つまり製作当時に輸入されたものは限られますが、明治から大正時代以降に日本に持ち込まれたものなどを入れると、日本に現存する更紗のコレクションはかなり世界的に見ても素晴らしいものであることが知られています。
インドでの更紗生産は、19世紀のヨーロッパでの産業革命以降は衰退の一途を辿って行き、20世紀に作られたものはかなり品質に違いがあります。


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