カシミール・綾綴れ織裂(18世紀末)
カシミールショールはあまりにも有名ですが、なかなか本当に古いタイプを目にすることは少なくなりました。
極細のカシミール山羊ののど部分の辺の柔らかいウールを用いて、繊細に綴れ織されています。
綴れ織なので糸が全体にわたることが無く、薄くしなやかに仕上がります。
かつては、ショール1枚分のウールを集める作業に1年ほど、織り上げるまでに数年費やした贅沢品です。

この写真のカシミールは、恐らくショールの最後の部分を飾ったペイズリーだと思います。
実際、大型のペイズリーが全体に織り込まれていたり、サッシュとして織られる場合もあるので、あくまで可能性としてですが。
生地は向こう側が透けるほど薄く、柔らかいものです。
よくあるカシミールショールは19世紀後半頃のものが多く、より複雑な織りで重量感がありますが、この時代のものは薄くて軽いものです。
このように古手のものは非常に数がかぎられているので、小さな古裂でも貴重ですし美しいです。


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