ヨーロッパ・更紗裂(19世紀初頭)
以前はキルティングされていたらしい針跡の残る更紗裂です。
恐らくフランス製と思われますが、デザインは当時ヨーロッパからインド・ペルシャ方面まで流行だったペイズリーのアレンジされたものです。
ヨーロッパのものらしい華やかなデザインと色彩です。
ヨーロッパのものとしては古いタイプで、色彩が大変に美しい一枚です。

更紗に限らず、染織の歴史としては中国・インド・中央アジア・ペルシャからシリア方面と、大きな文明の栄えた国々が技術的な発祥の地で、素晴らしいものを作り出していましたが、近代に近付くほどヨーロッパのハイテク製品がそれらの伝統的な染織にとって替わっていきました。
この更紗が製作された頃から以降は、更紗輸入国だったヨーロッパが逆に輸出国だった国々に対して自国製品を輸出するまでになりました。
特に19世紀後半頃からインド・ペルシャの富裕層は、自国の製品より安価だったヨーロッパ更紗を服の裏地などに多用しています。
日本でも、江戸時代初期に渡り(輸入)で入った更紗は殆どインド・ペルシャの製品だったのが、末期には殆どヨーロッパ製となりました。


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