北西ペルシャ・シャーサヴァンジャジム(19世紀)
ジャジムとは、細幅の機で織られた織物を何枚か横に繋いで作られたカバーの事です。
この写真のもののようにウールのもの、稀に絹、もっと稀に木綿のものがあります。
多くはこのジャジムと同じく経錦、つまり経糸で文様を織り出すという技法で織っていますが、全く文様の無いものや縫い取り織で作られたもの等ヴァリエーションが意外に豊富にあり、奥の深い分野でもあります。

ペルシャではジャジムと呼びますが、ウズベクの作るグジェリも同じ分野に属します。
ジャジムの多くはシャーサヴァンとされて市場で売買されている事が多いのですが、実はその多くはシャーサヴァンのものではありません。
その他の民族・部族も作っていますが、それ程その出処までしっかりと研究されていない分野の1つという事ができます。
それぞれ微妙に違いはあるものの、今の所そこまでの事に注目している人は少ないのです。

ジャジムの歴史は古く、ミニアチュール絵画にも描かれています。
この写真のジャジムは、シャーサヴァンのこのタイプの中でも古い時代に属し、古典的な(或いは古代的な)モチーフが面白いものです。
絶対ではありませんが、比較的古いものの方が糸もより細く紡がれていて、小さなモチーフも綺麗に表現されています。


Copyright (c) 2005-2007 Gallery Tulip. All rights reserved.